Day11

水準測量について

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Step1

はじめに

入社したての頃、まず現場で教育を受けたのが水準測量でした。今思えばなんてこと無いですが、当時はやさしい先輩のもと やさしく指導を受けていたので、はっきりと当時のことを思い出されます。そんな思い出のある水準測量について今回は 書いていこうと思います。

Step2

水準測量とは

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水準測量とは、2つの標尺の中央付近にレベルを据え付け、水平に整置されたレベルの視準線によって標尺の目盛hA、hBを読定し、 その差(hA-hB)の高低差(比高差)を計測する作業のことを指します。

Step3

水準点の区分

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各水準測量で使用できる水準点(既知点)は「作業規程の準則」に示されています。
ここで、水準測量の区分は以下のとおりになります。
1級水準測量:地殻変動調査、トンネル工事等の測量で、特に高精度を必要とする場合に実施される水準測量。
2級水準測量:河川測量における水準基標測量等の場合に実施される水準測量。
3級水準測量:路線測量における平地部での仮BM設置測量等の場合に実施される水準測量。
4級水準測量:路線測量における山地部での仮BM設置測量、平地部での縦断測量等の場合に実施される水準測量。
簡易水準測量:山地部での縦断測量等の場合に実施される水準測量。

Step4

高さを測ろう(横断測量の場合)

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既知点であるKBMを後視し記帳します。

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器械高を計算します。(IH=GH+BS)

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視準できる範囲まで前視し記帳します。

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それぞれの地盤高を計算します。(GH=IH-FS)

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さらに遠くの地盤高を観測するため、盛替え点(ターン)TPを前視します。
上述と同様に地盤高を計算します。

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レベルを移動しTPを後視する。その読値から器械高を求めます。

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前視し地盤高を求めます。

Step5

高さを測ろう(単路線測量の場合:新点に高さを持たせたい場合)

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画像の水準測量(往路)を行うとします。

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画像のように観測値を整理します。
※観測手簿は水準点間毎にまとめるようにします。

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続きを同様に行います。

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今度は、画像のとおり水準測量(復路)を行ういます。

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画像のように観測値を整理します。

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続きになります。これで観測は完了になります。
次からは、この観測結果の整理を行っていきます。

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観測手簿から画像の表のようにまとめられます。

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次に許容範囲が必要になりますが、これは「作業規程の準則」に規定されているので、それに基づくことになります。

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ここで、この水準測量を4級水準測量とすると、許容範囲は画像のとおりとなります。
そして、許容範囲と較差を比較すると、較差はその範囲内なので今回の水準測量は合格となります。
さらに、既知点から既知点(全延長)の往復観測差も確認する必要があります。
全延長の較差は0.003mで、これに対し全延長における許容範囲は0.009mとなります。なのでこちらも許容範囲を満足している結果が得られ、合格となります。

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今回の既知点の標高を設定していなかったので、ここで仮に既知点1の標高を10.000m、既知点2の標高を8.722mにします。
では、観測標高の計算をしていきます。といっても簡単で、既知点1の標高10.000mから新点と既知点2の標高を計算します。
この結果から、本来の既知点2の標高8.722mから2mm誤差のある標高8.720の値が得られたことがわかります。
この誤差のことを閉合差と呼ぶようで、次から、この閉合差の処理方法について書いていきます。

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閉合差についても、「作業規程の準則」に規定されています。
ただし、ここで、「環閉合差」と「既知点から既知点までの閉合差」という聞き慣れない言葉がでてきます。 これについて次に書くことにします。

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画像の路線を例にすると、ⅰ、ⅱの閉合差が環閉合差となり、a、bの閉合差が既知点から既知点までの閉合差になります。
なので、現場で良く行う既知点1個で行って帰って来る水準測量の閉合差は、環閉合差の許容範囲で確認する必要があるので間違わないようしないといけません。
今回は、「既知点から既知点までの閉合差」になるので、観測距離0.391km/2(往復の距離なので2で除算する必要があります)から許容範囲は0.011mになります。
なので、観測誤差の0.002mは許容範囲内となり合格となります。

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閉合差の2mmについては、補正する必要があります。
画像の表で説明すると、既知点1の補正数の欄は、0.000で既知点2欄は閉合差の0.002と書きます。
新点欄は、距離の比で配分した計算値を採用するようで、今回の場合、距離189m/総距離391m✕閉合差0.002の値になります。 なので、計算結果0.001が新点の補正数になります。

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画像が最終的な計算結果になります。結局、新点は8.300となることになります。

Step6

水準測量時の距離

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上述までの「高さを測ろう(単路線測量の場合:新点に高さを持たせたい場合)」でわかるとおり、水準測量には距離が必要になります。
そこまで距離の精度を必要としない場合、光波等で別に距離を測定するのはかなり面倒な作業になります。(時間もかかる。)
そこで、おいさんはレベルでおおよその距離が測れる「スタジア測量」をお勧めします。
レベルの望遠鏡をのぞくと、焦点板の縦十字に2本の横線が存在することがわかると思います。これをスタジア線と呼ぶようです。
このスタジア線によって、器械点から標尺までのおおよその距離を測ることができるようです。
測定方法ですが、画像を使って説明します。
まず、標尺を視準し、2本のスタジア線に挟まれた長さを測ります。
次に、多くのレベルは、スタジア乗数が100となるので、読値に100を乗じます。この値が距離になります。びっくりするほど簡単です。
画像の場合、0.78-0.62=0.16m→0.16✕100=16mということで、距離は16mになります。