Step1
はじめに
Step2
事例の設定
今回は、ある場所に幅員4.00mの道路を標高19.0mに施工する工事を想定することにします。
画像は、その想定の平面とします。
今回、この画面右側の丘?山?を8分(1:0.8)で法面を整形することとします。通常、直高5mおきには小段を設けると思いますが、練習なので 無しとします。
Step3
設置手順1
通常一つの面を切るのに最低2つの丁張りが必要になります。実際は作業する環境やバックホウのオペさんとの相談によります。法面が長い場合では10m間隔
に設置していた記憶も残っています。
今回は、画像のとおり短い距離の条件になっているので、画像の水色の箇所に設置すれば良いとします。
まずはじめに、基線を決める必要があります。
今回は道路センターとします。
座標計算して、2点現地にポイントを落とします。この2点を結ぶラインが基線になります。
基線上のどこかにトータルステーションを据えます。据えたその位置の法線方向に丁張りをかけるようになります。
断面図は画像のとおりとなり、切土面も併せて書いています。
トータルステーションで切土面の外側の箇所を探り、そこに木杭を2本打ち込みます。
その際、トータルステーションで木杭の側面を視準しながら打ち込むようにします。
どちらの木杭でもいいので、木杭の天端の高さをトータルステーションで計測します。
昔は、レベルで高さを計測するように先輩に指導されましたが、性能が良くなった今日では、トータルステーションで十分高さの計測は可能だと思います。
今回、仮に木杭の天端の高さが「31.05m」だったとします。
杭の天端から0.55m下げたところに釘を打ちます。ここに貫板がかかるようにしますので全部は打ち込まないようにします。
水平器を用いて、貫板を水平に保ちます。水平が確保できたら釘を打ち込んで固定します。
杭の天端の高さが「31.05m」でそこから0.55m下げたところに貫板を固定したので、貫板の下端は「31.05-0.55=30.5m」になります。
なので、その高さがわかるように貫板に書いておきます。
貫板のどの位置でもいいのでプリズムを立ててトータルステーションからの水平距離を計測します。
今回、その計測値は「11.1m」だったとします。
貫板の標高が「30.5m」の場合、トータルステーションとの標高差は「30.5m-19.0m=11.5m」になります。
法面は8分勾配なので標高差に対する水平距離は「11.5m✕0.8=9.44m」になります。
従って、トータルステーションからの水平距離は「9.44m+2.0m=11.44m」になります。
今プリズムで計測した水平距離は11.1mなので、その差は「11.44m-11.1m=0.34m」になります。
よって、貫板下端での切土位置はプリズムから0.34m後方になります。
「0.34m」後方の下端に釘を打ちます。
釘の打ち方ですが、画像のとおり最初は上に向けて釘を打ち込みます。
ある程度入ったら、ハンマーの釘抜き部分で釘を曲げます。こうすることにより今後斜めに貫板を取り付けますが、その際にこの釘が支えになります。
これから8分勾配で貫板を新たに取り付けますがその際に、勾配定規と呼ばれる道具を使います。
勾配定規を8分に合わせ、それで合わせながら貫板を8分で取り付けます。
後ろの杭に貫板を足していますが、これがないと斜めの貫板に段差ができ、わずかに方向が変わります。
とても優しい先輩はこれを良しとしなかったので、右へ倣えのおいさんも当たり前に取り付けるようになりました。
丁張り自体の設置は完了しましたので、後は法尻までの距離(斜長)を表示すれば良いことになります。
法尻までの距離は、画像のとおり三角関数で求めることができます。
画像の赤字がそれになります。
斜めの貫板に法尻までの距離を記入します。おいさんが習った記入方法は画像のとおりになります。
最後に重機等で壊されないように赤スプレー等で色を付け目立つようにしたら完了になります。
以前おいさんが、「建設会社に入社して、最初にぶつかった壁が測量でした」と書きましたが、その測量業務の中で全くといっていいほど 知らなかった作業が丁張りでした。当時はあまりにも手順がわからずかなりパニックに陥っていたことを思い出されます。
本当に辛い思い出です。
本来、ICTの発展により土工の自動化が進む中、廃れていくノウハウと思いますが、敢えて、今回はそんな丁張りをどのようにして 行ってきたかを書いていこうと思います。