Day10

基準点測量について

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Step1

はじめに

現場が始まる時に、測量業務においてまず一番始めに行うのは、仮ベンチの設置か現場周辺に基準点網を構築するかの作業に なるのでは無いかと思います。
恥ずかしながら、おいさんは、特にあまり難しいことは考えずに基準点を設置していた経緯があります。
なので、反省も含めて、ここで改めて基準点測量についてまとめようと思います。

Step2

基準点測量の区分

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基準点測量は、1、2、3、4級基準点測量の4種類に区分されます。「作業規程の準則」にもその種類が示されています。
この表からわかるように、1、2級基準点測量においては、同級基準点を既知点として使用できますが、 現場で良く使う基準点である3、4級基準点の測量は上級の基準点を既知点とする必要があるようです。

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文章だとわかりにくいので、4級基準点測量を例に示しますと、画像のようになります。

Step3

基準点測量の方式

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基準点測量の方式には、既知点と新点を結ぶ路線の形状により、結合多角方式単路線方式の2種類があるようです。

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結合多角方式とは、3点以上の既知点を使用して既知点と新点とを多角路線によって結合された方式ということのようです。
といっても、やはりわかりにくいので画像で示します。

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単路線方式とは、既知点間を1つの路線で結合させる多角方式とのことです。両既知点またはどちらか1点で 方向角の取り付け観測を行う必要があるようです。
これは、自力で座標計算を見ていただけたらイメージがわくと思います。

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画像に示すような測量は、公共測量では認められていない方式のようなので注意する必要があるみたいです。

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また、面倒なことに、いずれの方式でも、作業方法が決められています。その内容は画像に示すとおりになります。
ぱっと見て良くわからない箇所がたくさん存在します。

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単路線方式の作業方法になります。
これだけ縛られていると、現場で考えながらでの作業ではかなり無理がありそうです。現場に出る前にある程度計画してから 作業する必要があることに改めて認識させられます。

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ここからは、上表でおいさんがわからなかった項目を一つ一つ見ていきたいと思います。
まずは、「単位多角形の辺数」から見ていきたいと思います。
単位多角形とは結合多角方式において形成される環路線のことで、画像の場合、単位多角形は3となるようです。 また、それぞれの辺数は①が5、②が4、③が3となることになります。

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路線とは、既知点から交点、交点から交点、交点から既知点をつなぐ線のことのようで、画像では3路線となります。
また、画像の場合だとそれぞれの辺数は①が3、②が3、③が3となります。

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偏心距離の制限についてですが、まず偏心についてから書きます。
偏心とは、障害物等により直接の視通の確保ができない場合、観測点をずらして観測を行うことのようです。
そのずらした点を偏心点と呼び、その観測を偏心観測というようです。
例えば、4級基準点観測の場合、新点間の距離50mを標準としてあることから、偏心距離eは50m/6=8.3mまでとなります。

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路線図形の項目では、既知点間を結ぶ線から折れ曲がる角度に制限が設けられているようです。
3、4級基準点測量の場合を例にとると、既知点間を結ぶ線から50°以下、夾角は60°以上と制限されることになります。
これは、かなり難しい制限に思えます。ここまでくるとクセを付けるくらい徹底しないと失敗しそうです。

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平均次数とは、一番初めに計算した新点を1次点、その路線を1次路線というようです。
1次点を既知点として観測を行った場合、その点は2次点・2次路線となるようです。

Step4

基準点測量の閉合差

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基準点測量の閉合差は、自力で座標計算を見ていただければ、イメージが付くと思いますが、基準点測量の誤差にも許容範囲が設けられています。
その許容範囲は画像に示すとおりになります。表だけ見せられてもわかりにくいと思いますが、一度計算してみると理解いただけると思います。
是非、「Day2、3の自力で座標計算」に挑戦していだだき、手を動かすことをお勧めします。これで、基準点測量についての内容は終了になります。 が、あともう少し書き足したい内容があるので続けて書きます。

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閉合差に関して、土地等を測量する地積測量にも制限が設けられています。
その内容が、画像に示す表になります。
せっかくなので、この地積測量について、最後に触れてみたいと思います。

Step5

地積測量(用地測量)

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今回は、画像のように放射法で土地の測量をする場合を例にとり、説明していきたいと思います。

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閉合差に関しては、先に書きましたが、その他の基準について書いてきたいと思います。
まずは、「計算の単位及び計算値の制限」になります。
この基準は、画像に示す表のとおりになりますが、その中で「放射法の出合差」という内容があります。
これは、2点以上の基準点より測定した場合の筆界点の座標値の差のことをいうようです。

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また、土地の分筆等で座標がすでに存在する土地を再度測定する場合は、既知座標値と再測の計測値との照合を 行う必要があるようです。
その場合の基準としては、画像の表に示すとおり、距離・面積等の許容範囲があるようです。

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これについても、画像に示す例で説明していきたいよ思います。

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甲3の場合、筆界点の位置誤差は15cmまで許されています。そこで、仮に例の土地の筆界点(座要点)が15cm外側に膨らんでいたとすると 画像に示す辺の長さになります。
この場合の、距離と面積の誤差の確認をしたいと思います。
まず、点間距離の公差(誤差)は、aとcで0.08m+0.02√(10m)=0.143mとなり、0.143mが誤差の許容範囲となります。しかし、実際の誤差は 0.212なので許容範囲を満たしていないことになります。
面積については、面積S=10.212✕7.212=73.649m2に対し、許容範囲は(0.01+0.02✕4√(70))√(70)=0.568m2なので、これも満足していないこと になります。ということで今回の計測は再度確認する必要があるという結果になります。

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距離の誤差については、「作業規程の準則」にも示されています。
上述の基準とどう使い分けすれば良いかわかりませんが、一応載せておきます。
最後は脱線しましたが、これで基準点測量について終わりたいと思います。ありがとうございました。